北海道箱根牧場様では、毎年数多くのお客様が来場されています。しかし、観光牧場として、夏に来場者数が偏っていることや景気や外国人客の動向に左右されやすい状況がありました。
このため、1年間通じて来場やインターネット販売を確保することが課題になっていました。当観光牧場では、冬場のアクティビティやネットを通じて観光牧場で製造されている乳製品・畜肉加工品・農産物などを購入いただくことができますが、利用者は限定的となっていました。
そこでこれらの課題を解決するため、一度来場された方の名簿をLINE公式アカウントを通して蓄積し、継続的に情報発信することで、再来場やネット通販などに結び付ける取り組みとしてチャットボットが開発されました。
このチャットボットでは、牧場紹介することに加えて、「抽選でソフトクリームが10人に1人無料!」というPOPを掲示して登録を促しています。
LINE公式アカウントでも、アンケートや抽選機能はありますが、登録者のそれぞれのアカウントに情報を紐づけて管理することができないため、顧客管理をするための名簿作成には不十分となっています。
このためチャットボットを利用して自社独自のデータベースをLINE公式アカウントと連携して構築しています。このデータベースに友だち追加された方が返答した内容を自動的に蓄積されていく仕組みとなります。
このような情報を取得して活用するためには、プライバシーポリシーを提示し、このポリシーに同意頂いた方のみがアンケートに回答する仕組みとしています。
このような同意を得ることもチャットボットで自動的に行うことで名簿構築をスムーズにできるようにしています。
チャットボットでアンケートを取得する
この事例ではLINEのトーク画面で回答できるアンケートを作成しました。
アンケート内容は、①お住まいの地域 ②ご利用回数 といった2点になります。
ボタンを選択するだけで実施できるのでお客様は簡単に回答してもらうことができます。
実際のアンケート画像は下のような画面です。LINEのチャットボット用テンプレートのメッセージを利用して表示しています。
LINEチャットボットでアンケートを取得する場合で注意しなければいけないのは、回答に対して想定外のメッセージが送信されることです。
当事例では2つのアンケートを取得していますが、②のアンケートに対して、①のアンケートの回答がなされることや、別のチャットボットのボタンが押されることがあります。
このためアンケートの回答状況をチャットボットで管理し、想定外の回答が送信された場合にはアンケートをキャンセルするか聞くといったシステムを構築しています。
このシステムにはクラウドサービスとして提供しているLINE連携チャットボット EDWARDを利用しています。
アンケート回答者に抽選メッセージを自動送信
アンケートの回答が完了した方だけに、LINEチャットボットから自動的に抽選メッセージが送信されます。
このメッセージ送信は、LINE公式アカウントの標準機能をチャットボットから呼び出すことができないため、LINE連携チャットボット EDWARDの抽選機能を利用しています。
下の画像のメッセージを送信し、くじ部分をタップすることで抽選が行われます。
この仕組みを実装してわかったこととして、抽選した後に「ハズレの人はもう一度タップしてみる」という行動に出ることです。
このためチャットボットでは抽選を1回限りとして管理しているため、再度タップされた場合は「既に抽選済みです」といったメッセージを出しています。
多言語対応のチャットボット
当事例のチャットボットでは、多国籍の方が訪れる観光施設での事例であるため、日本語の他に英語と中国語に対応しています。チャットボットを起動する際に、言語選択をできるようにしてそれぞれの言語で観光施設の案内が表示されます。
入力されたメッセージを理解して応答させるようなAIチャットボットではありませんが、テンプレートを使えるLINEチャットボットの特性を生かして、ボタン式の応答を実現しています。
メッセージへの反応率が高い!
蓄積された名簿に対して、LINE公式アカウントから情報配信を行っていますが、Eメールなどと比べて開封率が高いことはLINEの特徴と言えます。
実際に運用してみると、さらに良いことは反応率が高いことです。20~30%の方がLINE公式アカウントからネット通販ページまで見に来てくれています。
また、チャットボットのボタンをポチポチと押しながら内容を見るといった行動も良く行われています。
アフターフォローを自動化する
顧客管理を実践するために、第一歩として「お客様の声(満足度)」を聞く取り組みもチャットボットに盛り込んでいます。
これは、来場して友だち追加した日から一日後に自動的にチャットボットからメッセージが配信され、下の画像のようなフォームで入力をしてもらう仕組みです。
全ての方がこのメッセージに対して返信を頂けるわけではありませんが、満足度が高い方にはブロックされませんし、満足度が低く伝えたいご意見がある方は入力して頂けます。このような方々に対してしっかりとした対応がしていくことができればと考えています。
チャットボットでLINE Payなどキャッシュレス決済
LINEにお客様を集めることができるとマーケティングしやすくなります。マーケティングの目的には業績を上げることがありますが、チャットボットと決済を連動させることで簡単に購入してもらうことができます。
当牧場の事例としては、チャットボットで商品カタログを表示してクレジットカード決済を導入しました。このような仕組みは、チャットコマースやモバイルオーダーと呼ばれます。
時期によって作物が限られるため現在は公開していませんが、同様の仕組みはこちらのページで確認できます。